東京藝術大学 音楽学部楽理科/大学院音楽文化学専攻音楽学分野

特別講座「デル・マー先生講義」

ベーレンライター社 ベートーヴェン原典版講座
――ベートーヴェンが本当に表現したかったこと――
講師  ジョナサン・デル・マー氏(指揮者、ベートーヴェン研究家)
通訳  三舩優子氏(ピアニスト)
日 時:2017年 11月 28日(火)13:00 − 16:10
場 所:5−401教室
対象学生 楽理科、音楽学、および全科
 
講座内容
ベートーヴェンの音楽を編集する時に経験する困難や様々な問題について、校訂者の視点から語る。
■自筆譜のない作品 vs あまりにも膨大な原典資料のある作品、これらをどう評価するか?
■ベートーヴェンの手描き譜はお世辞でも綺麗とは言えない、これをどのように解読するか?
■どの版が作曲者の意図を忠実に反映しているかを確認し、校訂者の気まぐれな結論の被害に遭わないようにするには?
参照作品
○ピアノ・ソナタ 第20番Op.49-2/第14番 Op.27-2「月光」/第31番Op.110
○ピアノ協奏曲 第1番Op.15/第4番 Op.58 など
 
ジョナサン・デル・マー氏 略歴 Jonathan Del Mar
1951年ロンドンに生まれ、クライスト・チャーチ、オクスフォード、ロンドンの王立音楽院で学ぶ。インペリアル・タバコ国際指揮者賞(1978)、ニコライ・マルコ国際青年指揮者コンクール(1980)、リーズ指揮者コンクール(1984)にて受賞。ロンドン交響楽団等と共演。
研究者としては、学術的なクリティカル・エディション専門のベーレンライター社から、ベートーヴェンの交響曲全曲の旧全集以来初の全面的な新校訂版を刊行したことで有名。同エディションは世界中の多くの指揮者が使用している。そのほか、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲、ヴァイオリン協奏曲、チェロ・ソナタ、弦楽四重奏曲、ドヴォルジャークのチェロ協奏曲なども校訂。現在はベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲の校訂作業中で(既刊19曲)、2020年のベートーヴェン・イヤーまでに完結の予定。
 
三舩優子氏 略歴
1988年第57回日本音楽コンクール第1位。桐朋学園大学主席卒業後、文化庁派遣研修員としてジュリアード音楽院に留学。91年にロス・アンジェルスにてアメリカデビューを果たす。 同年10月、フリーナ・アワーバック国際ピアノコンクールで優勝。これまでに、「バーバー/ピアノ作品集」「南米ピアノ作品集」など6枚のCDをリリース、 いずれも好評を博す。NHK-BS「週刊ブックレビュー」の司会を 6 年間に亘り務めるなど多方面で活躍。京都市立芸術大学非常勤講師。