東京藝術大学 音楽学部楽理科/大学院音楽文化学専攻音楽学分野

2020年度 前期 総合ゼミ

第1回、第2回総合ゼミが以下の通り開催されます。

 

第1回総合ゼミ 修士論文中間発表

日時:2020年6月23日(火) 13:10~14:30

発表者・発表題目

岸美咲 「ジャワのワヤン・クリッにおけるダランの能力獲得のプロセス――ISIスラカルタ校のカリキュラムを例に――」
今泉佳奈  「中部ジャワのスラカルタ様式のガムランにおけるシンデンの型の考察――採譜によるリズム構造の分析から」
芝池円香 「 1930年代フランスの音楽批評から見る『若きフランス』結成の背景」
千葉豊  「音楽史記述における新即物主義の評価の変遷――『ドイツ的/非ドイツ的音楽』を巡る20世紀の価値基準――」
陳麟  「1920~30年代上海の中国人社会におけるダンスホール:ジャズ受容の基盤として」
鄭青芸 「『中国音楽金鐘賞』が現代中国の二胡音楽文化にもたらした影響」
ムスタファ アブドケリム  「ロプノールのコシャックの実態からみるロプノール民謡の変遷」

 

第2回総合ゼミ D2企画

日時:2020年7月7日(火) 13:15~14:30

発表者:博士後期課程2年生(孫 瀟夢、松橋 輝子、李 惠平)

発表題目:音楽文化の受容

発表要旨

歴史上、音楽とそれを取り巻く文化は、それぞれ置かれていた社会的背景との相互作用を通じて常に激しい変容を遂げてきた。そのため、「受容」というテーマは特に20世紀以降の音楽学の研究において重要となっている。その際、作品や作曲家を個として、また自律したものとしてとらえるのではなく、社会的なコンテクストの中に位置づけ、どのように社会の中で作用し、あるいはどのような背景を持ってそこに存在していたかが焦点となる。

本発表「音楽文化の受容」は、時代、地域、ジャンルすべて異なる下記の三つの事例に注目する。

  1. 18世紀後半のライプツィヒにおけるパブリック空間(コンサートホール)での教会音楽の受容
  2. 1980年代の日本におけるシルクロード・ブームについて
  3. 台湾における現代キリスト教音楽の諸相――2000年前後の動向を中心に――

三人の発表者は、市民社会の形成、多文化への関心、資本の拡張、民族意識の台頭といった背景や出来事を契機に、外の音楽文化がどのようにもたらされ、どのように受容されるかを念頭におきながら個々の社会的背景との関係性を探る。また、それぞれの事例と研究方法(史料検証、レパートリー調査、言説分析など)を通じて、「音楽文化の受容」を考えるに際しての諸問題に光を当てつつ、その可能性と限界を吟味していく。

 

※第1回、第2回ともにオンライン(Google meet)による開催です。