東京藝術大学 音楽学部楽理科/大学院音楽文化学専攻音楽学分野

第7回総合ゼミ 博士課程2年生による企画発表

第7回総合ゼミ 博士課程2年生による企画発表

日時:2025年7月1日(火)13:15~14:30

場所:東京藝術大学音楽学部5号館 5-408教室(予定)

題目:「アマチュア」音楽実践の歴史から現代の音楽文化を考える

発表概要

本年の博士2年共同発表は、「アマチュア」による多様な音楽活動が音楽文化の形成にどのように作用してきたのかを考察するものである。
笠井は、18世紀末から19世紀にかけてドイツ語圏にみられた「ディレッタント(音楽愛好家)」を取り上げる。ディレッタントとは、「優れた芸術的才能を具えながらも、芸術を愛するがゆえにあえてそれを生業としなかった人々のこと」と定義されている(ビーバー、フックス 2013)。彼らの活動の出発点を社会的背景から確認したのち、市民社会における愛好家たちの機能を検討する。
玉置は、1940年代以降の社会主義ブルガリアにおいて民俗音楽界における「プロ」「アマチュア」の概念がどのように発生したのかを、政治的社会的背景を踏まえて紹介する。その上で、社会主義時代にブルガリア全土のチタリシテ(地区センターのようなもの)を中心に展開された、アマチュアによる民俗音楽実践の実例を挙げて、それらが当時の社会でどのように機能していたのか、また現代のアマチュア民俗音楽実践にどのような影響を与えたのかを検証する。
以上二つのケーススタディーを踏まえて、アマチュアによる音楽実践が、現代まで続く演奏形態を定着させる一助となってきたことを示す。