東京藝術大学 音楽学部楽理科/大学院音楽文化学専攻音楽学分野

博士課程コロキウム

博士コロキウムは博士後期課程在籍の学生(原則として2年次生)が、準備中の博士論文について発表を行い、かつ参加者との討論を通じてその内容を深めて行くことを目的としています。火曜日、金曜日18:00~19:30、5-401にて開催。どなたでも参加できます(但し、博士課程1~3年生は必修。博士課程4年生以上も、出席することが望ましい)。

2017年度

 

■ 第1 回 : 2017年10月31日(火)18:00-19:30 5-401教室 〈予定〉
発表者 藤嶋保
<題目> 未定
<要旨>未定

■ 第2 回 : 2017年11月14 日(火)18:00-19:30 5-401教室 〈予定〉
発表者 菅沼起一
<題目>16世紀ディミニューション関連資料の再評価——ジローラモ・ダッラ・カーザ『ディミニューションの真の方法』を巡って——
<要旨>本発表は、博士論文のテーマである「バロック期以前の『器楽による声楽ポリフォニーの演奏実践』」を現代に伝える主要資料群である16-17世紀のディミニューション関連資料の調査報告と再評価を目的とするものである。旋律を、細かな音価で音と音との間を結んでいくディミニューション技法を説明したおよそ数十冊の資料には、器楽による当時の声楽ポリフォニーのディミニューションが多数掲載されており、様々な要素において声楽によるディミニューションとの区別化が行われている。今回は、資料群の中からジローラモ・ダッラ・カーザ『ディミニューションの真の方法』(ヴェネツィア、1584年)に焦点をあてる。発表は、博士論文の概要と本発表との関係性について述べたのち、ダッラ・カーザの著作の内容、特にその構成の説明と言説部分の記述の紹介を行うほか、シャンソン《Frais et gaillard》、マドリガーレ《Ancor che col partire》に彼が施したディミニューションの発表者による分析例を提示する。そして、本著作から浮かび上がる諸問題を「記譜法史からの観点」、そして「本著作を基準したディミニューション関連資料の歴史性」の2点に絞って論じる。

2016年度

■ 第1回 : 2016年4月19日(火)18:00-19:30 5-401教室 〈終了〉
発表者 須藤まりな
<題目> 「P.ブーレーズの作曲における素材の可能性ーー《賜物 Don》と《墓 Tombeau》のシンメトリー関係」
<要旨>同一の素材を用いて複数の異なる作品を生成することは、ピエール・ブーレーズ(1925-2016)の音楽創作を特徴づける一要素である。1950年代におけるセリー技法の探求を経て、そのひとつの帰結点として作曲された《プリ・スロン・プリ――マラルメの肖像 Pli selon pli : Portrait de Mallarmé》(1957-62)では、一貫した創作コンセプトのもと、セリー素材の活用および「引用」によって5つの構成曲のあいだに複雑な関係網が張り巡らされている。《プリ・スロン・プリ》のスケッチ資料から明らかになるそれらのネットワークを基点として、発表者は現在、以下の2つの問いに取り組んでいる。①きわめて柔軟な素材として設計されたセリーに、どのような派生の可能性が与えられているのか。②スケッチにおいて準備されたセリー素材が譜面上で現実化される際、創作上のいかなる判断基準が働いていると考えらるか。本発表では、第1曲《賜 Don》(1962)と第5曲の《墓 Tombeau》(1959/60/62)のあいだの素材上のシンメトリー構造を取り上げ、ブーレーズの作曲における素材の扱いの一例を提示する。

■ 第2回 : 2016年6月21日(火)18:00-19:30 5-401教室〈終了〉
発表者 井上果歩
<題目> 「ネウマ記譜のリズム解釈 初期軽量音楽論をもとに」
<要旨>本研究の目的は、12・13世紀にパリを中心に展開された初期計量音楽論を、同時期のヨーロッパの様々なネウマ記譜に当てはめることで、いまだ解釈されていないネウマ記譜のリズム的側面を明らかにすることである。今回の発表では、最初に初期計量音楽論の内容と西洋音楽史における位置づけを確認した後、アキテーヌ式ネウマと角符ネウマの中間の記譜で書かれたサン=マルシャルD写本(GB-Lbl Add.36881)の中から、三つの楽曲《Lux refulget de supernis edita》、《Cantu miro summa lande》、《Oriente oriens stella nova》を取り上げ、リズムの分析を行う。

■ 第3回 : 2016年7月12日(火)18:00-19:30 5-401教室〈終了〉
発表者 太田郁
<題目> 「山田耕筰の1930年代における日本への意識——海外遠征での演奏曲目の分析から——」
<要旨>博士課程での研究は、山田耕筰(1886-1965)の1930年代の作品について、この時期に特徴的な「日本音楽」を用いた作曲技法に着目し、彼の作品群に位置付けることを目的としている。山田は1930年代、「日本音楽」を使用した作品の作曲と演奏が目立つようになるが、これは同時期に海外での演奏機会を多く得ていたことが少なからず影響していると考えられる。山田自身が海外での演奏に際し「日本音楽の紹介」に努めたい、と発言していることから、海外での演奏作品に「日本音楽」の要素があったことが推測されるだろう。発表者はこれまで1931年フランス、1933年ソヴィエト旅行での作曲・演奏曲目を中心に分析を進めてきた。本発表では、歌劇《黒船》〈序景〉(1929)とオペラ・バレエ及び組曲《あやめ》(1931)について、作品分析及び各作品が演奏された1931年と1933年の海外遠征の詳細を紹介し、作曲・選曲の意図を考察する。

■ 第4回 : 2016年10月18日(火)18:00-19:30 5-401教室〈終了〉
発表者 鎌田紗弓
<題目> 「歌舞伎化」とはなにか ―構造的歌舞伎囃子論へ向けて―
<要旨>歌舞伎囃子は、他の芸能の要素を盛んに摂取しながら、旋律や舞台進行を「囃す」つまり「対象物を引き立てる」役割を担ってきた。際立たせるべき対象に合わせて調整されることで、ひとつの手法の音楽構成に歌舞伎ならではの多様性が生じており、これは異なる構成原則をもつ能楽囃子由来の手法も例外でない。本研究の目的は、こうした実態を音楽分析から示し、歌舞伎囃子の動態的な音楽性を解明することにある。
発表では「歌舞伎化」をキーワードとして、博士論文の問題提起にあたる部分と検討例を示す。例としては、出囃子の長唄曲における【羯鼓】【下リ端】のバリエーション、陰囃子における【天王立下リ羽】演出の流動性を扱う予定である。

■ 第5回 : 2016年10月25日(火)18:00-19:30 5-401教室〈終了〉
発表者 髙橋祐衣
<題目> フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディの《宗教改革》交響曲
<要旨>メンデルスゾーン・バルトルディ(1809~1847)の《宗教改革》交響曲は、1830年6月にベルリンで開催されるアウクスブルク信仰告白300年祭での演奏を目的として構想された。しかし、その式典での演奏はかなわず、最終的に大幅な修正を加えられた第2稿がメンデルスゾーンの指揮により初演されたのは、1832年11月のことであった。後年、彼はこの作品に対して否定的な見解を示したが、作曲当初はメンデルスゾーン自身が積極的に出版も考えていたものであり、ベートーヴェンの「遺産」に対するひとつの回答が試みられた意欲的な作品でもある。本発表では、まず作品の成立過程を辿った後、メンデルスゾーンの行った改稿について取り上げ、そこから彼がどのような作品コンセプトを抱いていたのか、この作品で目指したものは何であったのかを考察する。

■ 第5回 : 2016年11月15日(火)18:00-19:30 5-401教室〈終了〉
発表者 千葉伸彦
<題目> アイヌの歌唱における旋律の構造分析と歌唱法教習の方法
<要旨>発表者が博士論文のテーマとする「アイヌ民族の現代に適合した歌唱の伝承方法」について、研究の現況を報告する。現時点では2つの内容を論考の軸としている。①歌唱旋律の構造研究:これについて本発表では、旋律構造の概要を説明するとともに、本研究の完成に向けた、歌唱の教育の実践と絡めた記述方法についての構想を述べる。②歌唱法の教育実践に関する研究:トピックとして、五線譜でない新たな譜の導入、発声練習や歌唱練習の効果、2種類の裏声を使用している可能性、データの整理と記述などについて述べる。

■ 第6回 : 2016年11月22日(火)18:00-19:30 5-401教室〈終了〉
発表者 孟繁杰
<題目>児童歌舞劇の研究——週刊誌『小朋友』(『子ども』)から黎錦暉の創作活動を探る——
<要旨>週刊誌『小朋友』は1922年4月に上海中華書局より創刊され、当時の主編は黎錦暉でした。週刊誌『小朋友』は1937年から1945年の休刊を経て、1945年4月から重慶で陳伯吹より復刊され、1953年から少年児童出版者より出版され、今まで続けている。
本研究は、週刊誌『小朋友』(1922〜1937)から黎錦暉が創作した児童音楽作品を整理した。そして、児童作品の中から児童歌舞劇作品を中心に脚本、音楽、舞踊、舞台設置等各方面から黎錦暉の創作特徴と当時の国民状況について調査を行った。この調査により黎錦暉の児童歌舞劇は、当時の子どもに影響することと、後に中国歌舞劇発展の意義を明らかにした。