東京藝術大学 音楽学部楽理科/大学院音楽文化学専攻音楽学分野

 大学院の紹介

東京藝術大学大学院音楽研究科は、修士と博士後期の二つの課程からなっています。
音楽学には、三つの講座があります。以下では、各講座の根幹をなす、常勤教員による各授業(ゼミ)を紹介します(非常勤講師による授業については、今年度の授業紹介をご覧ください)。

第1講座

音楽民族学 植村 幸生
音楽学演習 フィールド(現場)経験に基づく音楽研究として民族音楽学を規定し、その立場から音楽文化の諸相を把握するための理論と方法について考察します。したがって、いわゆる「民族音楽」に対象を限定しているわけではなく、音楽一般を考えるためのひとつの方法として、民族音楽学を学んでいきます。最近取り上げたテーマとしては「歴史的民族音楽学の理論と方法」「音楽文化の復興」「映像民族誌と音楽研究」「民謡・民俗音楽の再考」「西洋音楽を民族音楽学する」などがあります。
この演習には外国人留学生が 毎年多く参加しており、それが討論を多彩かつ刺激的なものにしています。

音楽美学 福中 冬子
第2講座をご覧ください。

 

第2講座

西洋音楽史(近現代) 福中 冬子
毎年、音楽学のトピックをひとつ設定し、ひとつあるいは複数の関係テクストの講読を通じて考察します。2023年度前期は20年代〜30年代ドイツの音楽文化に焦点をあて、LAの亡命文化exile cultureに身をおいたアドルノ、ホルクハイマーの啓蒙批判を端緒に、モダニズム概念が同時代人にどのように定義付けられ、批判され、あるいは追求されたのかを検証します。

西洋音楽史(ルネサンス・バロック)大角 欣矢
音楽学特殊研究 西洋音楽史のさまざまなテーマを取り上げています。重点はどちらかというと古い時代(ルネサンスからバロック)にありますが、それに限定しているわけではありません。これまでに取り上げたテーマは、「バロック・オペラにおけるアリアの形式とその背景」「パレストリーナの4世紀(パレストリーナ様式の諸側面と17~19世紀におけるその受容)」「J.S.バッハ研究の動向(伝記・作品研究・受容)」「ポピュラー音楽へのアプローチと文化研究としての西洋音楽史」です。

西洋音楽史(古代)西間木 真
音楽学演習 ゼミ生の研究テーマに沿った文献購読(主にフランス語)。これまでに取り上げたテーマは、フランス古典期の悲劇とバレエ、言語社会学と音楽の身体性など。
音楽学特殊研究(西洋A) 古典ラテン語および中世ラテン語

西洋音楽史(古典派・ロマン派)沼口 隆
音楽学特殊研究(西洋C)I 音楽学とりわけ西洋音楽史研究における基本問題を扱います。近年の音楽学で問題化されている事柄について、現状を概観しながら、新旧の関連文献をとりあげます。「音楽学演習(1)」と関係性が深いですが、より個別具体的な問題を取り上げる可能性があります。近年では、形式論やトピック論、エージェンシー論などを取り上げています。
音楽学演習(1) 基本的な目標は「音楽学特殊研究(西洋C)I」と通底しており、音楽学特殊研究(西洋C)Iと合わせて実質的には通年授業のように運用し、同じテーマを扱っている年もあります。
近年に当該演習で独立して取り上げたテーマには「歴史的情報に基づいた演奏(HIP=Historically Informed Performance)」に関わる問題などがあります。

 

第3講座

日本音楽史 塚原 康子
音楽学演習 日本音楽史ゼミでは、日本で行われてきた諸音楽に関する歴史的研究をしています。「日本音楽」からどのような研究が可能なのかを考えるために、昨年度は音楽学演習「21世紀以降の日本音楽と日本音楽史研究」、音楽学特殊研究「音楽と文学の接点」、今年度は音楽学演習「アマチュアの音楽活動」、音楽学特殊研究「音楽と美術の接点」をテーマとして探究しています。

 

東洋音楽史 植村 幸生
音楽学特殊研究 日本には戦前から東洋(アジア)音楽研究の豊富な蓄積があり、戦後はフィールド研究が本格化しました(本学はその重要な研究拠点といえます)。現在、この分野は従来の諸方法を統合し、かつ研究の前提を問い直す転機を迎えています。本科目では従来の成果に学びながらアジア音楽研究の将来を展望します。